小児の近視抑制治療

目に関する様々なことを治療します

リジュセアミニ点眼液0.025%について

2025年4月21日、日本で初めて近視進行抑制を目的とした点眼液「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」(参天製薬)が発売されることとなりました。

2024年12月27日に厚生労働省の承認を受けた医療用医薬品です。

特に、進行しやすい小児期の近視に対する新たな治療選択肢となります。

この薬は眼球の前後の長さが伸びるのを抑えることで、近視の進行を抑制することが期待できます。

1回1滴、1日1回就寝前に点眼します。毎日続けて点眼することで、近視の進行を抑制することが期待できます。

対象となる方

●5歳以上の方

●軽度から中等度程度の近視の方(−6D以下の方)

●毎日集品前に点眼可能な方

●3か月毎の定期通院が可能な方

特徴

●日本で初めての近視進行抑制点眼剤です。

●通常は1回1滴、1日1回就寝前に点眼します。(継続して点眼する事で効果が期待できます。)

●国内治験の対象患者は、5~15歳で調節麻痺下における両眼の他覚的等価球面度数および眼軸長を使用とした試験において近視進行抑制効果が認められています。

●36ヶ月(3年)に渡る長期な進行抑制効果が認められています。

効果

・投与24か月後、プラセポ(偽薬)群と比較して調節麻痺下他覚的等価球面度数の投与前からの変化量において優越性が検証されています。

・投与24か月後、プラセポ(偽薬)群と比較して眼軸長の投与前からの変化量において優越性が検証されています。

診療費用について

初診料4,400円
再診料3,300円
治療スケジュール費用(税込)
初回診察・検査費用(4,400円)
+点眼薬費用(4,380円/30本(1ヶ月分)
2回目
(初回から1ヶ月後)
診察・検査費用(3,300円)
+点眼薬費用(13,140円/90本)
3回目
(初回から4ヶ月後)
診察・検査費用(3,300円)
+点眼薬費用(13,140円/90本)

診療の流れ

○初診

  • 初診時検査、診察
    検査を行い、近視の有無、治療適応について診察を行います。
    必要に応じて、調節麻痺薬での屈折検査や眼鏡処方なども行います。


  • リジュセアミニ点眼液処方
    点眼薬の説明ならびに同意確認の上、リジュセアミニ点眼液を1ヶ月(1箱)処方致します。


○1ヶ月後

  • 検査、診察
    検査及び診察にて継続可能か判断し、問題なければ3ヶ月分の点眼薬を処方致します。


○3ヶ月毎 定期診察

  • 検査、診察
    検査および診察上で問題なければ、以降は3ヶ月毎の定期検査を行なっていきます。

リスク、副作用について

  • 点眼後、一時的に目がかすんだり、まぶしく見えたりすることがありますので、必ず就寝前に点眼してください。

  • 就寝前に点眼しても、翌日までまぶしく見えることがあります。

  • 症状が回復するまでは落下の恐れがある遊具の使用、自転車や自動車などの運転、機械の操作は行わないでください。

  • 必要に応じてサングラスをかけるなど、太陽の光や強い光を直接見ないようにしてください。

  • 治療期間中および中止後は、定期的に眼科を受診して、近視の進行状況を確認する検査を受けてください。

  • 医師の指示なしに、点眼するのを止めないでください。近視が急激に進行することがあります。

○眼

  • 5%以上「羞明」
  • 1~5%未満「視力障害」「霧視」「瞳孔障害」
  • 1%未満「調節障害」「眼瞼湿疹」「グレア」


○精神神経系

  • 1~5%未満「頭痛」

Q&A

Q   保険適応外なのは何故ですか?

A   リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、2024年12月に「近視進行抑制」の効能で厚生労働省の承認を受けましたが、薬価基準に収載されていないため、健康保険の適用外となっています。そのため、診察・検査・薬剤費用などすべてが自由診療(全額自己負担)となります。 


Q 近視進行抑制効果はどの程度ですか?

A 国内の第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験では、5歳~15歳の小児を対象に、24か月間の投与で近視度数として約39%、眼軸(目の長さ)の伸びとして約32%抑制され、近視の進行を有意に抑制する効果が確認されました。


Q    視力は回復しますか?

A リジュセア®ミニ点眼液は近視の進行を抑制するための治療であり、進んだ近視を弱めたり、視力を回復させたりすることは出来ません。


Q   効果の無い方もいますか?

A 薬剤の効果には個人差があり、すべての患者さんに同じような効果が得られるわけではありません。治療効果が不十分な場合には、他の治療法との併用や治療方針の見直しが検討されます。


Q  治療期間(点眼期間)はどのくらいですか?

A 近視の進行は成長期に著しいため、一般的には10代後半までの継続が推奨されます。ただし、治療期間は個々の進行状況や医師の判断により異なります。まずは2年間点眼していただき、効果を見るのが望ましいと考えます。


Q  中学生や高校生からでも点眼治療は開始できますか?

A   可能です。最大限の効果を発揮するには早い段階での治療が望ましいですが、大人(18歳)になってからも近視進行するケースも報告されておりますので適応となる場合もございます。


Q  眼鏡やコンタクトと併用は可能ですか?

A 併用可能です。コンタクトレンズを使用している場合は、レンズを外した後に点眼してください。


Q どのような作用機序で近視進行を抑制しますか?

A  詳しい作用機序はまだ解明されておりませんが、主成分であるアトロピンは網膜や強膜に存在するムスカリン受容体に作用し、強膜のリモデリングを抑制することで眼軸の伸長を防ぎ、近視の進行を抑制すると考えられています。


Q 全身への影響はありますか?

A 現在のところ全身への重篤な副作用は報告されておりません。


Q   注意すべきことはありますか?

A リジュセア®ミニ点眼液は、1日1回毎晩忘れずに点眼を続けることがとても大切です。自己判断で中止すると、近視が急に進むリバウンドが起こる可能性がありますので、勝手にやめたりせず、必ず医師の指示に従ってください。点眼薬を家族や兄弟間で使いまわすことは絶対にしないで下さい就寝前に点眼しても、翌日までまぶしく見えることがあります。見えにくさを感じる時は、落下の恐れがある遊具、自転車やキックボードなどは使用しないようにしてください。
また、必要に応じてサングラスをかけるなど、太陽光や強い光を直接見ないようにしてください。その他、気になることがあればご相談ください。